『世の終わりの贈りもの』いま、平和の贈りものとは?

~~~戦争は、実は見えざる内なる世界から
~~~クリスマスプレゼントに最適!

『世の終わりの贈りもの』朗読はこちら
https://youtu.be/K-_uqwrLKr8
https://youtu.be/PkZyxO8q_ks

稲田陽子

2007年に書いたこの物語は、幻想的なクリスマスファンタジー
というカタチをとりながら、戦争は実は人々の内面が深く関わって
いるもので、その相似的な現象でもあるのではないかという重たい
テーマを潜ませている。戦争は、単に政治的なものだけでなく、
そこにさまざまな人間的な要因や不条理が絡み合っているように
思われる。

物語は、2000年初頭を時代背景とした比喩の世界であり、できるだけ
シンプルにテーマを追うために子どもの心を物語の「ど真ん中」に
据えた。だから、副題に「子どもと昔子どもだった大人たちへ」という
フレーズを添えている。

物語の主人公、子どもの代表であるキリコは、クリスマスイブの夜、
不思議な世界に誘われる。それは、近未来のキリコの生きる世界であり、
相変わらずの「分かち合わない地球」。生態系は崩れ、暴風が荒れ狂い、
戦争が人生を狂わせていた。
そんな世界に迷い込んだキリコが、最後に目にしたものとは?

後半は、いのちのうたが響いてくることを祈りながら、書き進めた。
キリコは、平和への最後の砦とは、既成概念や常識などの「思考」ではなく、
「自らのハートの扉を開けること」だとサンタクロースに諭される。
しいて言えば、その扉の向こうにあるのは、キリコの潜在世界の中の
宇宙的な広がり(宇宙意識)というものだろうか。この潜在世界
というものは厄介で、大人になるほど「執着」を積んでしまうところ
でもある。

この物語を表題作にした『世の終わりの贈りもの』には、全部で5つの
作品が収められている。その一つ一つが異なるテーマを持ちながらも、
ある一つのビジョンを追いかけていたのだが、何を思ってか、夫の稲田が
「蛇足的?解説」と題した「解説」を書き始めた。

「えっ、書くの?夫が書くと、なんかおかしいよ笑」と、私が思わず
躊躇(笑)していると、「書きたいことがあるから、書いている」という。
その「明快な」言葉のとおり、夫は、物語の奥にあるものを引っ張り出している。
あたかも「量子真空」の生命磁場やゼロ・フィールドと触れ合うかのような
「フシギ意識」を引き出し、それにフォーカスして書いている。
そこには、荘子の「胡蝶の夢」の興味深い連想や小さな個に内在する宇宙の
実相へのアプローチなどが垣間見えた。それは、『「ガン呪縛」を解く』の
第8章『回帰の旅の物語』や『幸せを呼ぶ暗号』を想起させるものでもあった。

確かに、私が追いかけていたものとは、潜在世界の「内なる物語」であり、
息を潜めて出番を待っている「神話」のようなものでもあったのだろう。

この短編集の扉のページには、次のように添えた言葉がある。
「内なる自分が、外なる世界を創るんだ!
光は外側から差し込むなんて、誰も信じないだろう」

当時の国際的情勢は、9,11に始まり、アフガン攻撃、イラク戦争や高校生の
イラク渡航での人質事件など、かなりキナ臭いものがあった。
この物語は、そんな時代を背景に夫と発行した「エコろじー」という
環境情報オピニオン紙に執筆していた経験があったがために、書けたものだった。

私は、このオルタナティブな新聞の執筆や活動を通して、様々なことに関心を
呼び覚まされ、学び、マスコミの報道がどれほどのものだったのかを肌で理解した。
「報道」に関する「編集」については夫から聞いてはいたことで、私が体感した
「空気を醸成するマスコミ」やネット勢力(うわさや捏造)への惨憺たる認知が、
私の見るものに変化をもたらした。

簡単に言えば、「戦争」は、外側の出来事であるかのように装いながら、本当は
人間の内側から起きているのではないかというものだ。その内側は、潜在世界が
果てしなく広がり、その中にはどうしようもない不条理な世界があるからだ。
一方、それと同時に、愛や平和に満ちた世界があるのも事実である。

こうした意識はセルフである潜在世界の広がりに注目させ、小さな自己宇宙が
果てしない「宇宙意識」そのものにつながるに違いないと、物語たちは、
ささやかな希望が託されることになった。

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『世の終わりの贈りもの』(稲田陽子作)朗読はこちら
朗読/水谷恵美子さん
前編
https://youtu.be/K-_uqwrLKr8

後編
https://youtu.be/PkZyxO8q_ks
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