教育のデジタル化は順調?

~~~北欧ではアナログへ引き返す動きも

稲田陽子

シリコンバレーの I Tリーダーたちの子どもがアナログの
幼児教育にハマっているという話がある中、デジタル
教育先進国のフィンランドでは、それまでのやり方を
振り返り、アナログの手法に回帰する動きも見せている。
長く世界の模範のように、世界的にも教育成果を上げていた
はずの同国で、最近では、心身の不調などが問題視されている
報告もある。

日本では、ようやくデジタルDX(デジタルトランス
フォーメーション)という変革が行われ、着々と改革が
進められており、一人一台の端末機器の普及に加え、英語を
中心にデジタル教科書も活用されている。
2030年をメドに紙の教科書からデジタル教科書に変更
されていくのだという。

こうした動きが加速する時代、デジタル化は子どもにとって
本当に良いことなのかどうか、わからない面も多いように
思われる。というのも、デジタルという環境には良し悪しが
つきまとう。補足的に利用するならまだしも、メインの活用
となれば、さまざまな懸念も出てくるに違いない。
養老孟司さんは、人間が育ちの中で必要な身体性を享受する
大切さを説いており、それは、いかに五感を使って、ものごとを
理解し体得していくかの重要性を訴えている。この感覚を
阻害されて発展したのが、現代の脳化社会であり、意識が
優位になって作り出された文明であると、養老さんは語る。

だから、大都会の歩道に石でもあって、つまづいて転べば、
大きな問題になると、揶揄する。自然が中心であれば、常識は
逆転するわけである。しかも、自然は予測不能であるとし、
それを意識が管理したり、コントロールできるわけではない。
養老さんは、人間はいつしかそうしたことをすっかり忘れて
しまったところに心を寄せている。

シュタイナー教育にしても、身体性がテーマである幼少期から
中学生までの育ちの重要性を問題にしている。この時期は、
デジタルの影響から子どもを保護すべきであり、活用するのは、
15歳以上からだ。

人間力、想像力、創造性などの醸成は、五感や身体性を
抜きには考えることはできないというのが、シュタイナー教育
の現場の声であることは間違いない。しかし、時代が変化して
いく中で、デジタルを抑圧しすぎるわけにはいかない。
いかに現実を阻害しない活用を推進することができるかが
一つのカギとなりそうだ。それには、シュタイナーの
声も、養老さんの声も、反デジタルというわけではないが、
実は未来の現実をよく物語っているのではないだろうか。
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