4月から水道水の規制緩和

〜〜〜背景に、「農業大国」日本

稲田陽子

消毒のために含まれる塩素の下限値や上限値が
定められていないという水道水だが、この問題も
解決されていないまま、今度は、水質の規制緩和が
この4月から実施された。

日本は、豊かな自然環境に恵まれており、美味しい水は
この自然の恵みでもある。しかし、残念ながら、この
自然を生かすような農業政策がとられていない。
農薬が世界でもトップクラスの使用量だと言われている。
中国、韓国と並んで、トップ争いをしているような現状の
ようだ。

もちろん消費者にも原因の一端はある。どうしても店頭に
並ぶ商品としての農産物に消費者がイメージするような
ものを重ねてしまう。イメージと異なれば、売れないのだ
という。この消費者心理が農薬を使用するのを容認する
ことにもつながりかねない。もしも、曲がっていても、
新鮮で美味しい野菜だというアピールはもっとなされて
良いのではないかと思われる。

こうした農薬事情は、また「農業大国」であり続けるため
農薬を多量に使い、その国土の水質を下げてしまうという
ことも意味している。それは、口にする人々の健康にも
影響を与えてしまう。

実施されている規制緩和は、はたしてどのようなもの
なのだろうか。

まず規制緩和の対象になったのが、ホスチアゼート、
クロロピクリン、ウニコナゾールP。従来の基準値が見直された。
これは、多少多くなっても人体に害がないというのが
その理由らしい。これが理由となっているのは、なにやら
不思議である。わざわざ緩和する必要があるのだろうか。

イプフェンカルバゾンは、従来は検討課題であったものの、
今回ははっきりと対象項目に昇格したものである。この事例は
良心的であるのに、なぜ基準値をさらに緩和してしまうという
発想が出てきてしまうのか。

さらに検査の対象項目も増えている。農薬に含まれる
メチダチオンが塩素と反応して産出されるオキソン体が
加わった。発がん性があると規制対象となっている
トリハタメタンと同様に、その毒性から対象とされた。

ただ、これだけ検査をしなければ、飲めない水になって
いるとも言える話だ。だからこそ、農薬漬けになるような
産物ではなく、良い土を作り、生態系を壊さない農業の
あり方をもっと考えるべきなのだろう。もちろんそうした
農業も最近は当たり前に感じるほどポピュラーには
なっているなか、やはり生産量に格差も生まれてしまう。
それだけに農薬をできるだけ抑えるような仕様になっていく
ハードルが高くなっている。そこから脱出するには消費者も
声を上げていくよう望まれ、とどのつまりそれがきれいな
水を取り戻していくことにもなるに違いない。
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