免疫力…血となり肉となる食べ物から

~~~千島学説とシェーンハイマーの実験

稲田陽子

健康は、誰にとっても大切なもの。最近、「腸活」
という言葉もよく聞かれ、腸相が綺麗な腸は善玉菌、
悪玉菌、日和見菌の生態系である「腸内フローラ」の
バランスが取れているとも言われている。免疫力も高まり、
腸の健康は保障付きと言っても良い状態である。
これを維持するには、発酵食品の摂取など腸活に役立つ
食べ物を積極的に食べる人も多いだろう。

免疫力が上がる食事といえば、やはりこの腸のフローラ
に配慮したものが好ましく、それは免疫細胞を活性化する
のだという。免疫が健康であれば、感染症はもちろん
ガンなどにも耐性を持つことになるのは言うまでもない。

こうした腸と免疫の密接な関係については、千島学説を
提唱した千島喜久男博士が独自の実験観察により実証し
ている。このテーマは、『ガン呪縛を解く~千島学説
パワー』(稲田芳弘著)でも論じられており、千島学説
の全体像のみならず、ガンが心身を超えたホリスティックな
ものであることも理解される。

千島学説では、血液は腸で作られるもので、これを腸管
造血説と言い、『隠された造血の秘密』(酒向猛著)に
医師である酒向先生の専門的な解説がある。その酒向先生
によると、2018年にコロンビア大学の研究者グループが
腸内に造血幹細胞の存在を見つけているという。出版予定の
改訂版では、このトピックについても書いていただいて
いるので、ぜひご一読いただければ、と思う。

この腸管造血の語ることは、実に画期的なものである。何せ
その道程を含むすべてがこれまでの生物学、医学の定説を
覆しているからだ。赤血球は、若く、老いていない。食べ物を
摂取した後に形成された食物モネラを介して、小腸で赤血球
が発生してくる様子が観察事実として明らかにされている。
そこに起きるのは、 赤血球が凝集して展開するAFD現象で、
それを通して核のある白血球が生じる。これが免疫に関与し、
そのクオリティも赤血球への依存を免れないことになる。
さらに、赤血球からあのソマチッドが発生し、健康のバロ
メータとなるのである。つまり、 DNAの先駆物質とも推察
されるソマチッドの質が免疫力を表現することにもなるわけ
である。(『ソマチッドと714Xの真実』稲田芳弘著)

となると、食べ物が私たちの血となり肉となるというのも、
まさにそのままの現象だと言える。こう述べているのは、
何も千島学説だけではない。20世紀初頭に活躍した科学者
であったシェーンハイマーの歴史的な実験でも証明済み
である。

シェーンハイマーは、摂取するチーズに色をつけ、それを
食したマウスの体内を細胞レベルで観察した。すると、
マウスに現れたのは、着色されたチーズが分子、原子レベル
になった粒子の流れであった。食べた物のおよそ半分以上がその
まま粒子となってマウスの体の一部となっていたことが
確認された。これは非常にわかりやすく、量子論的でさえ
ある。しかし、このシェーンハイマーは、「生命は
機械ではない。生命は流れだ」と考えていたため、
機械論的視点が優勢であった単一の当時の空気とは
少なからず相容れないものがあったようである。それが
要因なのか、貴重な実験結果は、長く人々の記憶に留まる
ことはなかった。

時代や定説に抗うことは、いつの時代にも困難と勇気を伴う
ものであるが、それはともかくとして、食べ物そのものが
私たちの体を作っているというのは本当の話である。
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