空間から宝物の贈りもの?

~~~松並順子さん『アント女将の国際日記』

稲田陽子

いま、『ガン呪縛を解く~千島学説パワー』の英語版を
目指し、翻訳のファイナルステージに向かっている。
翻訳者は、通訳が本業で80代の高齢ながら通訳ガイドの仕事にも
携わっている方と私。通訳の方は、実はある英語教室で
日本語への翻訳の先生でもあった方で、私も趣味である
翻訳を磨くためにも長らく通って楽しんでいた。そんな
あるとき、その方に夫の書籍の英語翻訳の話をしたところ、
とても興味を持たれて、一緒に翻訳を手伝ってくださる
ことになった。そこからワークショップのカタチで『ガン
呪縛を解く』の英語翻訳が開始された。その時に、ネイティブの
方の協力も必要であったため、私は、長い間の知り合いで
あったアント英語スクールを経営する松並順子さんにも
相談をさせていただいた。

松並さんとは家族ぐるみでの交流があり、夫の『ガン呪縛を
解く』にもその直感力で共感してくださっていた。そこで、
私の話を聞くや、松並さんはすぐにイギリス人のネイティブの
方を紹介され、そのお陰で英語に翻訳したものにネイティブの
眼差しが加わった。

その松並さんが本を出されている。それが、ご自分の人生を
生き生きと振り返っている素敵な自伝的体験手記『アント女将
の国際日記』だ。松並さんがアント英語スクールを作ってから
30数年経っているが、英語を含めた他言語世界への松並さんの
情熱は、学生時代から大きく膨らんでいたという。高校生時代の
ある日、ご自分の部屋で突然降り注ぐようなひらめきが訪れた。
松並さんは、夢か幻なのか定かではないある感覚のとりこになった。

ガヤガヤと賑やかな人々の声が響き、楽しそうに語り合うような
感覚…。その会話に飛び交うのは、英語はもちろんたくさんの
国の言葉だった。一瞬、松並さんの部屋は、外国のどこかになった。
そこに集うのは、言語を通して心を通わせる日本人や世界の人々だ。
その時、松並さんは思った。海外に行かなくても、「ここに」
いろいろな国の人々が集えばいいのだと。

小さな自分の部屋が、一瞬のうちに世界に繋がり、将来の夢に
まで誘うことになった。この原体験が、その後の松並さんに
大きな影響を与え、生涯の軸になっていったようである。
英語スクールの経営にしても、不思議な偶然で150人の生徒と
いくつかの教室を譲り受けることになったのも、考えてみても
ただの偶然とも思えない。松並さんは、空間から宝物が
引き出されると言われている。

引き寄せの法則とはよく言われることである。とうとうアント
英語スクールは、松並さんのイメージ通りに進み出していく。
多くの海外の若者をネイティブ講師として育てたり、外国人
の入居施設を運営するなどして、外国人の小さな集いの空間が
できた。そこには、みんなが協力し合う心和む空間がある。
飛び交うのは、英語を始め、ヨーロッパ、アジアなどの多言語
であった。

松並さんは、その後もそうした引き寄せの体験に恵まれ、いろ
いろなトリガーに遭遇してきている。最初の海外旅行が、グアム、
サイパンであったのも、ユニークだが、これは戦争の傷跡である
「石」を拾いに行くという目的があった。50年も昔、親友から何気に
大学の卒業旅行にグアムに行こうと誘われたことが切っ掛けだ。
ひょんなことから新聞の取材を受けて、市長の紹介状と支援者からの
渡航寄付をもらうことになり、戦跡に飛んだ。この始まりのボランティア
精神は、被災地など様々な場面で発揮されており、その後も多くの海外
旅行や滞在を断行し、危ない場面にも遭遇しつつも、プラス思考で感動の
体験を積み上げてきている。何よりも地元の人々との気さくな
交流を通して、縁がつながっていく場面は印象的である。

書籍には、「幸福度NO.1であった」ブータン国王の結婚式に
出席したエピソードも収められている。さらには、アメリカ、
マレーシア、メキシコ、カナダ、中華人民共和国、ロシアなどでの
滞在体験も見逃せない。

書籍のタイトルそのままに、気配り上手で気さくな女将が、
行動し作り上げた「ここ」が味わえる『アント女将の
国際日記』をぜひ読まれることをお勧めしたい。勇気と希望が
いつの間にかご自分の中に湧いてくるのを感じるのではないだろうか。
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