『ガン呪縛を解く』とガンの告知

~~~『ガン呪縛を解く』の始まりは…

 

稲田陽子

『ガン呪縛を解く~千島学説パワー』は、「ガン宣告」
ならぬガン告知の話題から始まっている。これは、著者、稲田の
体験でもあるからでもあるが、それ以上に、ガンという病の
深刻さや告知された側の心理状態が慮れるからに違いない。
それだけ、いまも社会的には重要視されている病気だと
も言える。

夫の稲田は、私がしつこく何度も病院に行くように促したので、
重い腰を上げ、ようやく検査したという経緯がある。だから、
自分がガンに罹患しているとは、思ってもみなかったようである。
とはいえ、検査の当日は、やはりそれなりの覚悟は作られて、
医師の前に座った。ところが、医師がガンだと告げる時には、
数人いた看護師が皆揃って夫の周りを囲んだ。これは、不安の
中にいるはずの夫を思いやってのことだったらしい。

夫は、「ガンなんかじゃないから、診察室には一人で行く」と
言ったので、私は待合室で一人、夫を待っていた。診察室を
出た夫は、すぐに私のところに来ると、ガンの告知を
伝えた。心配していた私の心が、さらに落ち込みそうに
なるのを知ってか、夫は、前代未聞の大芝居をして見せた。
書籍にもあるように、指を鳴らし、「しめた!」と、言う。
周囲に待合の人がいる中でのリアクションに、心配の渦中の
私も、思わず呆れて笑ってしまった。

少し心が和んだものの、ガンであることには変わりはない。
夫から詳細を聞くと、医師はすぐに抗ガン剤治療を始めるという。
しかし、夫は、もともとガンには千島学説的な治癒への希望があると
思っていたので、告知も割りに客観的に聞いたフシがある。
実は、「しめた!」と、言ったのも、ただの冗談ではなく、
実際に心の中で何かが書けそうだという思いが膨らんでいた
のだと思われる。

その後、抗がん剤治療を何とか辞退し、すぐに『ガン呪縛を解く』の
連載がHP上で始められた。分厚い本に成長していく電子文字が、
日々打ち込まれていく。考えてみると、一つの目標に向かって、
張り切る夫の姿にガンのイメージは皆無であるかのようだった。
ただ、千島学説的治癒論として食事療法や実績が信頼となった
サプリなどは取り入れていた。

連載は、非常に多くの読者に恵まれて、共感をいただきながら、
一年後に完了となるや、出版に漕ぎ着けた。振り返ると、
連載中のその一年は、著者がガンであるがゆえにさまざまな方々
との出会いがあり、別の意味で夫の人生に喜びももたらされた。
ガンの告知から一年、念のために前とは別の病院でガンの検査を
受けたところ、どこにも転移せず、進行もしていないことが
わかった。夫は、この時、ガンという病の性質をわかりやすい
カタチで垣間見たのに違いなかった。
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