~~~千島が提唱した断食とがん治癒へのマップ
稲田陽子
オートファジー・ダイエット…。
オートファジー理論にノーベル賞がもたらされてから、
盛んにこの言葉がもてはやされるようになった。
それまで断食にはいわば「臨床的」な効果などは認めら
れ、世界中で古くから実践されてきてはいたのだが、
これが科学的な実証を得てその理論がノーベル賞まで
授与されたとあって、途端にその株が急上昇した。
それまで半信半疑であったものが、まさに現代科学の
お墨付きをもらったのだから、当然と言えば当然だろう。
しかし、私は、この研究の陰に隠れてしまった千島博士
(元岐阜大学教授)の見い出した数々の「業績」について思いを
馳せる。断食の理論にしろ、千島はとっくに発見しており、
それはガンの治癒への道標として提唱されていた。
先にも書いているように、千島が赤血球から細胞ができる
ことを観察事実とし、ガンを赤血球由来と考え、それが
血液の浄化作用によりガンが血液に戻る可逆性があると
主張していた。生物学、医学の定説を破るこの説は、時代の
好奇心にもてはやされたものの、その後は同じ「時代」に
よって「潰されてしまった」らしい貴重な学説である。
にもかかわらず、千島学説提唱後、40年ほどたった頃、
千島が提唱した説と同様の研究論文が権威ある3つの
研究機関から発表されると、高松宮妃にまつわる賞を
受賞し、マスコミにも大きく取り上げられた。
むろん千島博士の話は、影も形もない。
そうした千島博士は、いち早く自らの観察事実によって
ガンの起源やその自然治癒のあり方を発見していた。
その自然治癒の方法の一つに「断食」がある。それは、
千島の説を結果的に支持した3つの論文でも明らかになった
「ガンが赤血球に戻った」という事実から説明できる。
つまり、飢餓状態を作る断食の実践で血液の浄化が促され、
老廃物が排泄されて免疫力も改善されるため、赤血球が変容
したがん細胞が溶け出し元の血液に戻っていく姿を千島は
観察していた。
一方、オートファジー理論では、飢餓状態による栄養不足と
化した細胞が、細胞自体の自浄作用(自食作用)で「食べ物」
の代わりに不要になったタンパク質など有害物質を食べて
自ら浄化し、免疫力を上げる。それがガンなどの抑制にも
役立っている。
こうして考えると、断食は、生存の危機が生み出した生物の
優れた免疫システムだと言えるのかもしれない。
千島学説は、まだまだたくさんの未知の発見が詰まって
いる。先んじて様々な発見がなされており、確実な観察事実で
裏付けられてもいる。それだけに、今も十分注目されても良い
はずのものである。そんな生命哲科学が半世紀以上も前に
提唱されていたことに驚きを禁じ得ない。
と、同時に健康回帰への確かなマップが示されているのも、
千島学説の大きな功績と魅力である。
(ref/『ガン呪縛を解く~千島学説パワー』稲田芳弘著)