~~~竹炭のミラクル、この世界をイヤシロチに
稲田陽子
『雲の上に木を植える~素朴なアルケミストたち』(Eco・
クリエイティブ)の作者である新野めぐみさんが亡くなられた。
近年は体調を気づかいながら活動されていたようだったなか、
ご高齢の新野さんはその使命を全うされた。その訃報は、
千島学説研究会事務局から突然届けられた。
新野さんは、直製作していた竹炭を通して土壌や環境、
さらにはガンなど難病を改善に導く活動を長年されてきた方だ。
とくにモンゴルの砂漠に集団で全身真っ黒になりながら竹炭を
撒き、木を植えていく。地球の環境を人のささやかな夢が
覆っていく。それは、いつの間にか「イヤシロチ」に変貌を
遂げていくのだ。
「イヤシロチ」は、カタカムナを解読した科学者の楢崎皐月が
「静電三法」を実践する際に引用した言葉でもある。これは、
一言で言うと電位の高い場所のことであり、食物も非常によく育つ。
いわば、生態系のバランスが自然に取れる場所なのだという。
新野さんは、こうした考え方から、東日本大震災の直後にも
すぐに竹炭の活用を思いつき、持ち前のポジティブ思考でその
活動の幅を広げていった。
当時、夫は、出版社をしていたわけではなかったが、新野さん
から出版の相談を受けると、その話はトントン拍子で進んで、
『雲の上に木を植える』が意気揚々と世に出た。もちろん、
夫は新野さんのことをガン患者の人々にも伝えていた。すると、
早速、新野さんの竹炭体験に行き、自然の中で心身をリフレッシュ
した方もいて、ちょっとした「聖地」となっていたようだ。
しかし、なんと言っても圧巻は、モンゴルで竹炭まみれになる
「大自然」体験ではなかっただろうか。
そもそも環境は、人という生命体の一部であるとも捕らえられ、
また、環境の一部が人であるとも言って過言ではなく、その
環境が壊れれば、人という生態系も病んでしまうことになり
かねない。だからこそ、新野さんの仕事は、大きな意味を持つ
のだろう。
新野さんの訃報から数日後、農業書協会から『雲の上に木を植える』
を「日本農業書総目録2022年版』に加えて欲しい旨、原稿掲載を請う
文書が届いた。この掲載を申し込むのは言うまでもないが、
私は、この偶然を単なる偶然とは思えず、シンクロ二シティ
の一つ…あるいは、新野さんのメッセージのような気がしてなら
ない。本当に不思議である。
ご冥福を心より祈りたい。