師走の雪に、『はるか摩周』の感動の余韻

豊平館で昭和のレトロ感たっぷり。12/1の朗読とチェンバロのコラボ、ドラマ化を夢見て…!
胆振東部地震チャリティ義援金も被災地にお届けします。

稲田陽子

12月1日は、雪がなく凌ぎやすい一日となった。そのためもあってか、
 来場者もほぼ満席の状況。原作者の後藤壮一郎さんもご高齢ながら
 遠くから来られ、皆さんに紹介することもできた。実は不思議な偶然で
 氏は、現在、小説『はるか摩周』の舞台となっている弟子屈・川湯の
 老人医療などの専門病院で勤務医をされている。「昔と様変わりし、
 温泉は観光客が減り、街が寂しくなっている。かつての活気が懐かしい」と、
先生は、昔日の面影に心を走らせる。

この懐かしさの奥には、若き日々へのさまざまな思いがあったのだろう。
 『はるか摩周』という自伝的な一大フィクションにその思いが結実された。
 戦争中、戦後の青春群像が描かれ、東京から酒田、札幌、そして最も重要な
 舞台として道東の弟子屈まで物語は展開していく。東北や道東の大自然を
 背景にしながら、しかも物語の暗示をするように美しい名曲たちが次々と
 現れてくるのも、読者を惹きつけてやまない大きな魅力となている。

その意味でも、吟遊詩人のようなチェンバロは、まさに最適最強の楽器
 であった。チェンバロ奏者として定評のある明楽みゆきさんが、陰影のある
 豊かな即興伴奏をしてくださり、表情豊かな朗読に寄り添った。

朗読したのは、朗読カルテットの栗山博さん、水谷恵美子さん、林たのしさん、
 ひかるこさんのベテランの方々。毎週木曜日夜8時から20分間、ラジオカロス
 (FM局)で『はるか摩周』を読んでいる。

今回のイベントでは、どう完結するのかまでは明かしていない。
 ギリギリのところで抑えられている。この先のお話は、ラジオの朗読か書籍で
 お楽しみいただければ、幸いである。主催としても、ぜひとも完結編まで披露
 できれば、と願っている。

最後に、ご協力いただいた義援金(11,000円)は、被災地の厚真町に
 お届けいたします。ご寄付くださった方々のご協力に心より感謝いたします。
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