~~~不安の時代の申し子なのか
稲田陽子
「2025年の7月5日に未曾有の大津波が日本を襲う」。
そんな予言がいま注目の的になっている。予言は、
たつき諒さんの大人気漫画からのもので、作者は、
夢をもとに漫画を描いたという。そうした夢は、
当たれば、いわゆる予知夢ということになるわけで、
発売以来大きな反響を呼び、中国語版も作成された
という。
たつきさんは、2011年の3.11の大地震や津波襲来も
言い当てており、今回の夢も予知夢と予測されている
ようだ。これは、台湾や香港でも報道されると、大きな
話題となり、日本への観光客が激減する要因となっている
と報じられた。観光シーズンを迎え香港からの就航便が
欠便となっているというニュースは記憶に新しい。
地震は、いつ起きるのかもちろん誰にもわからない。
予測が難しいと言われているからである。それでも、
専門家は、今後30年以内にいつ起きてもおかしくないと
警告している。そんな中、京都大学の研究グループでは、
これまでにない科学的な手法を用いて、2038年という
具体的な年を予測しているのは、注目される。
しかし、それにしても、「今年の7月5日に大きな津波が
日本を襲う」という噂はあっという間に広がり、
科学的な根拠を超えて人々を動かしてしまうのには
驚く人も多いのではないだろうか。
世界の情勢、環境は、見渡せば多くの困難に満ちている。
国によって事情は異なるが、とくに世界的に激しい異常気象や
パンデミックは人類共通の体験なのは、紛れもない事実
である。しかも、日本は米騒動があり、続く物価の高騰
という不安もある。こうした背景のもとに、たつきさんの
漫画は、90万部も売り上げたと聞く。たつきさんは、
自身の漫画で、人々が防災の感覚を磨き、災害の備えを
してほしいと願っているというが、やはり、予言の陰には
人々の内面に知らぬ間に醸成されていく不安という存在が
あるのは否定できない。
まさに予言は、不安の時代の申し子とも言えそうだ。
では、世界的な理論物理学者の保江邦夫さんとされる
方の言説はどうだろうか。こちらは、 NASAをソース
とする情報らしく、2025年の7月5日には小惑星のかけら
である隕石が地球に衝突するとされているそうだ。
もしも、これが事実であり、また、何の対策もされ
なかった場合、日本とフィリッピンの間の海域に隕石が
落下すると予測されている。その結果は、一目瞭然だろう。
日本にも大津波が押し寄せる。まるで南海トラフのようだ。
しかし、流石にNASA は何らかの対策を講じているはずである。
さまざまな情報が飛び交うなか、私たちはどこへ行こうと
しているのだろうか。少なくともリテラシー感覚は大切に
したいものである。
参考/実は2025年7/5というのは、作者が予知夢を見た
時間だという言説がある。