~~~治癒力を失わないために
稲田陽子
日本人のがん罹患率は、二人に一人、がんによる死亡率は
三人に一人だというありがたくない数値が出されている。
背景には、検査の遅れや自然なこととして高齢者の増加がある
ことなどが挙げられているが、米国では、がんの罹患が減少化
傾向にあるという。早期検査がその傾向を後押ししていると
言われている。しかし、米国は国民皆保険ではない。むしろ、
減少傾向には代替療法の発展も寄与しているようにも思われる。
ガンの代替療法は、もっともシンプルに言えば、松野哲也さん(元
コロンビア大学教授)がご自身の開発したプロポリスを使うなど
して自然治癒力を上げて、ガンを克服していったような方法である。
これはもちろん、個人でも手軽にでき、また、いまでは数は多く
ないものの医療機関でも取り入れているところもある。
こうした療法ができるのも、ガンが勝手に増殖していくという
これまでも常識が覆されているからではないかという捉え方も
想起される。千島学説によると、がん細胞がどんどん増殖するのは、
試験管の中だけの実験結果によるのだという。これが事実なら、
ガンに対するイメージが一変するのではないだろうか。稲田が
『ガン呪縛を解く』の中で、ホリスティックな医療を求め、
ガンがただ恐いものではないのだとメッセージしているのも、
そもそものガン観が異なるからでもある。
代替医療で、ガンが減少するなら、そんな素晴らしいことはない。
そこには自然治癒力の温存と高揚が保たれ、ガンが抑制される
ことが期待されている。
ただ多くの場合は、従来型の治療法を選択するのが現実であり、
素人にはそれ以上のことは思いつかないのではないだろうか。
治療は日進月歩で進歩するものとどこかでイメージし信じている
のかもしれない。この感覚が抗ガン剤をスムーズに受け入れて、
実際に進行がんが寛解してしまったケースも確かにあるのも事実だ。
ガンの現代医療への信頼度がとても高く、全てを任せて治療に望んだところ、
何の副作用も起きなかった。それどころか、石灰化までしている。
信じてのぞめば、良好な治癒結果となるとはこういうことなのだと、
私はひどく感心してしまった。おそらく、これが代替医療でも、
的確になされるなら、よい状況を招く可能性も見えてくる。
アンドリュー・ワイル的には「プラセボ効果」という一種の
暗示効果が引き出される可能性ということである。これは、
一般的に治癒力への一つの影響力なのだという。
一方、同じような治療をした別の方は、よくあるように副作用に
悩まされたそうだから、皆が同じように良好というわけでない。
皆、違っているのだ。
ただし、再発はいまの医療では手に余ることも珍しくなく、
ここがガン医療のターニングポイントになるのかもしれない。
そんなときには、ホリスティックな医療が助けになるはずで、
予防にも良いとされている。がん呪縛を解き、生きがい療法
のような生き方の変更も、人生を応援してくれるに違いない。