~~~土を耕さない粘土団子!SDGsに貢献する自然農法
稲田陽子
SDGsといえば、今最も求められるサステナブルな開発目標の
ことだ。2015年に国連で採択され、2030年を目指している。
賛否両論があるが、食糧難に備えた「昆虫食」という日本人には
馴染みのない苦肉の策もそこに含まれている。地球温暖化や
食糧難が進むと、食も変わってくるという望ましくない未来図が
描き出されているようだ。
こうした未来に一石を投じるのが、粘土団子による自然農法である。
福岡正信がその創始者で、農哲学者と言われるほど、自然に寄り添い
ながら耕さない引き算の農法を開発した。耕さず、荒地に緑を蘇らせる
ので、世界から熱い視線を浴びた。特にケニアで砂漠化した荒地が
豊かな畑に変わった偉業はよく知られている。
原料は、泥と種しかない。この魔法のような粘土団子が、奇跡を
生み出したのだという。ただできるだけ自然に近いカタチで種子が
育つがままに見守ると、作物は、土に潜るという常識を超えて、
根菜類も土の表面に現れてくるのだという。例えば立派な大根がそのまま
地表で育つというのだから、驚きである。しかも、無農薬で有機栽培
でもある。これは、もう奇跡としか言いようがないのではないだろうか。
作物の持つ力を最大限に生かすこの自然農法は、地球の未来を
感じさせて余りある。何もしなくても、自然が自然を育てている。
これは、化学肥料などで土を壊してしまうのではなく、ますます
微生物などで滋味豊かになって本来の力を発揮する農法だけに、
地球の未来に欠かせない。日本だけでなく、日本発信で世界各地に
そうした実践指導者がさらに育てられるなら、それは本当に望まれる
ことではないだろうか。
この自然農法は、耕さず、草も抜かず、化学肥料を使わない無農薬農法
であり、無為自然に育つにまかせる。すると、微生物が増え、土地本来の
力を取り戻し、多種、多様な作物が繁茂する。規模が大きくても問題はない。
信じられなくとも本当の話である。地球には、本来の豊かさが備わって
いるということなのだろう。
夫の稲田は、福岡正信の取材をしたことがあるが、それとは別に尊敬する
人物の一人と言って良いかもしれない。この人のことは熱く語って
くれるので、私もよく覚えている。おかげで、本来の地球を思い描ける。
『わら一本の革命』(福岡正信著)は、現代人必読の書であるにちがいない。