代替医療、なぜ日本では普及しないのか?

~~~すぐれたサプリも医者が使わなければ何もならない!

 

稲田陽子

 米国の代替医療の発達は、皮肉なことに健康保険に
入れない貧しい人々の中でなされてきた。それが次第に
富裕層の間に広まり、今では医者が選択肢の中にサプリなどの
代替医療を組み込んでいるのが当たり前の風潮になっている
という。まして、抗ガン剤はそれほど積極的に使用されなく
なっているそうだ。いわゆる体に優しいこうした医療の実践は、
日本のように何でもかんでも薬事法に責め立てられるシステム
からは生まれないことだろう。しかも、これにより、ガン
医療に効果が認められ、ガンで亡くなる人々が減少傾向だと
言われている。

しかし、相変わらず日本の空気は、サプリや健康食品が
いかがわしいという「空気」もあって、医療としてはなかなか
信用が得られないように思われる。もちろん不適切な商品も
あるだろうが、その一部を除いても、一般に出回っている
睡眠サプリや認知症予防のサプリ、目のサプリ、血液をサラ
サラにするサプリ、疲労回復のサプリなど、実に多岐にわたる
ものがドラッグストアなどで気軽に買うこともできる。それら
は、ただの一時凌ぎで買うこともあってか、購入者は、やはり
半信半疑である人も多いに違いない。つまり、それを恒常的な
ものという認識がないのが大半かもしれない。どこかに科学的な
データが不明ではないかと懸念を持ち、医者の処方より格下だ
という意識が働いているわけである。つまり、日本では、サプリ
商品の効果効能を謳えないので、その科学的根拠に対する
信憑性が得られない仕組みが確立している。

そのせいもあり、あるサプリではちょっとした愛好者組織を作り、
そこで「貴重なもの」であるという価値付けを行って、その
口コミを含む強力な宣伝行為を通した個人営業の波が作られている。
これをいい悪いで判定しても、どうにもならない。実際の効果が
あるとされているものもあるからである。

ところが、ここで気をつけなければならないことがある。
「実際の効果」といま書いたが、これを謳ってはならないという
「薬事法」の強い規制があることだ。つまり、たとえ良好な
効果があっても効果があると言ってはならないという法律で、
まことしやかな障壁が作られる。もちろん本当に効果が
ないのに、効果があるかのように宣伝しているものもあるので、
こういうものは除いての話であるのは、言うまでもない。

もしも効果効能を謳えば、それは医薬品扱いとなり、健康食品
なのに薬として売っているとして、法律が規制をかける。
こうした処遇は、悪徳なものに対する規制には有効である
ものの、本物である場合には、実にもどかしく歯痒い規制だ。
例えば、それが抗ガン剤よりもずっと優れているサプリであった
場合には、どうだろう。規制は、弊害以外の何者でもないこと
になるのは、自明の理だろう。

抗ガン剤を医者に勧められ、その効果について副作用と
ともに説明されたとする。患者は、抗ガン剤の弊害をよく
見聞きしており、どうしてもやりたいとは思えない。そんなとき、
ネットワークで広まっているという優れたサプリを飲み始め、
体調が良くなったとしても、患者は科学的と称するデータを
持つ抗ガン剤を医者に勧められれば、拒否できないことの方が
多いようだ。しかし、案の定ひどい副作用に見舞われ、それが
ために命に関わった場合も、医者は、説明した通りになった
だけだと言い、何の責任も取らないことだろう。
それは、すべてその治療を選んだ患者の責任なのだ。抗ガン剤
治療の一つの現実がここにはある。

一方、「ガン呪縛を解く~千島学説パワー』の著者である夫の
稲田は、抗ガン剤治療をはじめ三大治療を拒絶したがために、
システムや意識の相違に伴う「試練」にも遭遇した。そのことを
含め、後日書いたのが、『荒野のジャーナリスト稲田芳弘~愛と
共有の「ガン呪縛を解く」』だった。どうしても書かなければ
ならないという、切なる気持ちにかき立てられ、執筆に至った
ものだ。
(ガンのような重い病気だからこそ、ホリスティックな医療は
重要な要請だと、私は、切実に思っている。)

もしも、代替医療が正式に機能していれば、はたしてガン治療
に纏わるさまざまな矛盾は解決するものだろうか。

少なくとも代替医療という選択肢を患者が有することはまた、
心と体に優しい「ガン医療」を患者が公明正大に享受する一つの
道を開く。「抗がん剤を拒否する患者は受け入れられない」
「最末期でも抗ガン剤治療を選択肢に加える」医療のあり方
は、どう見てももはや先進国のものとは思えないのである。
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。