世界から言論の自由が消えてゆく?

~~~米大統領選が見せてくれた世界
~~~回帰10年、稲田芳弘なら何を語るだろう…。

稲田陽子

いま民主主義という概念は、どのようになっているのだろうか。
日本は、第二次世界大戦で無条件降伏による敗戦国となり、
米国の占領支配を通して、それまでと180度転換した民主主義国家へと
変貌を遂げた国である。日本人が学んだ最大の成果は、軍国主義や
封建的な思想を破棄し、万人に言論の自由があるという認識を持ったこと
だと、少なくとも制度上では言える。
ところが、その本家本元であると自負していたはずの米国の本当の姿が
大統領選挙で見事に暴露され始めている。もっとも、大量破壊兵器のある
危険な国とされ、米国のハイテク兵器の猛攻撃で多くの市民、子どもたちが
犠牲となったイラク戦争の時にも、その姿は垣間見えていただろう。

もしも、夫が元気でいたなら、今のご時世に何を語るものか、聞いてみたい
ものとよく言われる。おそらく先んじて当時のあの「Creative Space」やメルマガ、
「笑む M」から発信していただけでなく、「エコろじー」(紙媒体のニュース
ペーパー)を復刊させていたかもしれない。

山本七平の『空気の研究』は、夫の書棚から出して、読んでいたので、
たとえば、なぜ簡単に人々が「してはいけないはずの戦争」に掻き立てられて
いくのかも、わからないわけではない。
つまり、人々は、事実でもないことを「空気」の伝達によって、簡単に
事実としてしまうという信じられない現象を起こす。その空気は、時に大きな
マスコミが醸成の動機を与え、気づかぬ間に隅々まで行き渡っていく
わけである。

そうした空気の作用は、いまは、事実を事実として伝えていないマスコミの
「裏技」に潜んでいるようだ。

NHKの「ニュース9」では、トランプの弾劾が下院で決議されると、
「トランプは、歴史に汚点を残す大統領」という主観的な表現で報じていた。
事実関係を把握していないのは、米国の大手マスコミの流す言説にただ
従っているからだろうか。それとも、「臭いものにフタ」をして、バイデン
路線に迎合するのが得策だからなのか。これでは、ジャーナリズムではなく、
「政治屋さん」と何ら変わらないと思われても仕方がない。
実際には、ドミニオンや郵便投票の限りない不透明さが懸念されているらしい
「大統領選挙の投票数」(7つの州)の行方は、どうなるのだろうか。
両候補とも高い得票数であるだけに、米国のエスタブリッシュである
大マスコミは、バイデンの印象誘導に余念がないとも言える。

トランプは、その演説で煽られた支持者たちが起こしたとされている
議事堂襲撃事件が原因で、弾劾となると日本でも報道されたが、
この理由となっているものは、どうやらfakeのようだ。というのも、
トランプは平和的な演説をしており、その演説の間に事件が起こったといい、
捕えられた容疑者は「過激な左派で、トランプ支持者ではなかった」という。
この事例でもわかるように、日本のマスコミは、米国のマスコミの傀儡になって
いると言われても、反論できそうにない。

確かにトランプの「アメリカファースト」政策の影響で、レイシズムが露骨になり、
アメリカの分断も起きている。このため、トランプを支持しない人々も多いはずだ。
とはいえ、今回の選挙戦では、大規模な不正選挙疑惑やトランプの政治的な弾劾
だけでなく、「言論サービス」を提供する大企業であるビッグテックの足並み
揃えた言論封鎖も、驚くべきものだ。ここで起きていることは、民主主義の破壊
行為ではないか…そんな疑いを持っても不思議ではないだろう。

ビッグテックであるツイッターは、トランプを永久追放とし、同じくフェイス
ブックは無期限投稿禁止だそうだ。さらにトランプ支持者というだけでも
投稿が禁止されてしまったのだという。これほど規模が大きくなると、「都市伝説」
も「あり」ではないかと、ふと思われる方も多いのではないだろうか。
(トランプ支持者でなくとも)
しかも、思想の相違でそうしたことが起きているとしたら、もはや民主主義社会
ではなく、憲法も超えた独裁的な大企業の「社会化」と言えるものが見えてくる。

同じビッグテック社会となっている日本も、これは対岸の火事ではない。
言論を封じ込めることはとても簡単であり、人々はますます「言えない社会」に
追いやられていく。これでは、山本七平が言う「事実をもって、空気に水を差す」
ことも難しくなる。まして、抗がん剤やガン治療についてあれこれ言って
「余計なお世話」をすることなど、言わずもがなである。それは、fakeかどうか
よりも、「プラットフォーム」を運営するビッグテックが気に入らない
事実や考え、意見かどうかが焦点となる。はじめに「独占企業社会」ありきなのだ。
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