~~~エピジェネティックな生命
稲田陽子 自然の風景の中に美しく溶け込む虫たちの受粉。 その姿にふんだんに光を注ぐ太陽。眩しく、また 暖かさに満ち、どこか懐かしい光景である。暗い 世相を背景に語るいま、この光景は、とても貴重な 地球規模のものであると同時に宇宙をも体現している ようにも思われる。 もちろん北の国には桜にも早く、あたりはちょうど 雪解けの季節と言える。この季節から少し先を覗き見ると、 昨年の記憶から受粉する木がイメージされる。 そこには、分け隔てすることなく、虫たちにミツを 与えている自然の姿があった。集まる虫たちも さまざまである。これが宇宙の自然なのだろうか。 命の営みが、さまざまなものが共生しながら、行われて いる。 千島学説は、ダーウィンの進化論に異を唱えている。 弱肉強食と自然淘汰だけで成り立っているかのような 世界観に疑問を呈した。千島喜久男博士は、ラマルクの 「用不用説」(獲得遺伝説)を擁護している。 進化の過程で、必要なものが獲得され、残されていくと考え、 進化は環境の影響を外すことはできないとしたわけである。 これは、まさに現代科学の思考であり、いまでは、そうした 視点が蘇っているとも思われる。 つまり、環境との適応が非常に重要であり、そこに共生という 道筋を選ぶトリガーが存在しているのではないかということだ。 エピジェネティックな視点こそ、共生進化を説明するのに ふさわしいものもないのかもしれない。 つい先頃、「 NHKでタモリと山中伸弥の!?」という番組が あり、そこで日本人のルーツである縄文人の遺伝子変容の 話が語られていた。災害の多かった縄文時代に生きた 縄文人にとって、大自然ほど大きな驚異はない。火山の大噴火を 経験した後、生き残りをかけた縄文人は、一つのコミュニティを 作り、助け合って生き抜く道を選んだ。実は、これが遺伝レベルで 記録されていたということを最新の研究で明らかにしている。 縄文人の遺伝子を調べると、大噴火後には「協調性が高く 助けあい共生する」遺伝子が出現していったという。これは、 生物が共生進化していく生命体であることをいわば立証した カタチとなっている。 千島学説の言わんとしていることが、ここにも明らかになって いる。千島学説には、環境と遺伝の深い繋がりを示唆する エピジェネティックな解釈がある。詳しくは、酒向猛さん(医博)の 『隠された造血の秘密』を読まれてはいかがだろうか。 参考/『隠された造血の秘密~幻の造血幹細胞論』(酒向猛著)