ターシャ・チューダーの庭

~~~女性性の時代を先回り?

稲田陽子

2025年からは、女性性の時代だというのは、
スピリチュアルの世界観でよく言われることである。
何かドラマチックなことを期待していまいそうな
この世界観だが、これに呼応するかのように
日本初の女性首相も誕生している。海外では、女性
首相は珍しくなくなっている。

女性性の時代という視点からは、この時代は風の時代とも
言われ、抑圧された女性性の解放を表しているとも解されて
もいる。言い換えれば、バランスが取れるという意味で不足
した自由が表現される時代になりうる可能性もあるのだろうか。
予言的なことはさておいて、これならば、多くの人々が
望むところではないだろうか。

現代医学が証をしている革新的な千島学説を提唱したのは、
千島喜久男博士だという話題も、いまでは市民権を得ている。
その千島博士の遺稿となったのが、『女性文明待望論』で
あった。千島は、生物学的な立場も採用しつつ、男性性優位の
社会から女性性優位の社会を展望した。それによると、
自然界は、必ずしも男性性優位ではない。何千年もの間、
人間界だけが女性性を凌いで男性性を優位な価値観として
いるようである。これに対して、千島博士は、闘争ではなく
共生や統合などの回復を目指した。

現代の言葉で言えば、共生する社会、地球の生命力の
回復を示唆しているように思われる。

そうした流れを自然の沈黙の中で、生き生きと楽しげに表現
したのが、米国の国民的な絵本作家、ターシャ・チューダーで
あった。ただ「好きだから」自然を生かした広大なガーデニングを
実現した。「あの花がいま水を欲しがっている」そう気づくとき、
ターシャはたっぷりと水やりをする。ターシャの日常は、何気
ないルーティーンワークで彩られ、感性豊かな創作活動を淡々と
楽しんで暮らしたという。世界の中でも日本では熱心なファンが
おり、テレビで放映されたり、映画化されたりもした。

ターシャの暮らしは、56歳でバーモント州に18世紀の農家の家を
建てたところから始まり、19世紀のライフスタイルを実践する
ものだ。近くに住む息子夫婦や孫たちのサポートを受けながら、
ターシャは、たくさんの植物や動物と暮らし、時にたくさんの人々を
招いて交流するお気に入りの生活を続けた。

ターシャは、この暮らしの中で最高の自分らしさを見出していた。
ここに理屈などはなく、ただ自らの命を楽しみ、自然と共生する
人間らしい暮らしをしたわけである。思えば、これが人間の暮らし方
や人間らしさの基本なのかもしれない。ここから発信される絵本そして
ターシャの庭の写真集や言葉には、人や自然への愛や静かな喜びが
たくさん詰まっている。

女性性の時代、風の時代には、一人一人が自分らしくいられる共生の
社会が望まれる…。
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