度重なるクマの出現に黄信号!

~~~野生動物との新しい共生は可能か

稲田陽子

近年クマの出没も珍しくなくなっているが、ここ
最近のクマの動きは、私たちの常識を遥かに上回って
きている。この秋は全国各地で食べ物を求めるクマが
相次いで人里、それも市街地にまで出没し市民を
震え上がらせている。人的な被害もこれまでに比べ、
大幅に増加しているという。

急激にクマの出没が増えたのも、クマの餌である
ブナの実やドングリが不作であったことに起因する。
極暑は、「人間界」の米や他の作物への影響と同様に
野生動物の世界にも深刻なものとなっている。
これも、年々夏の最高気温を更新するような状況である
だけに、どこまで不作被害が甚大になるのか予想も
つかないのが本当のところだ。

そうしたクマは、民家の畑だけではなく、ガラスを割り、
民家の中にまで侵入してくるようにもなった。さらには、
市街地までもターゲットにし始めている。これは、自然の
中よりも簡単に餌を取得できることをクマが学習している
ことを意味するようだ。

クマと人間との関係は、もう以前のようではなくなっている。
過疎化などで廃れてしまった里山の復活が急務だ。しかし、
だからと言って、気候変動の煽りは、これからも続くことが
予想されるわけだから、豊かな餌が戻るわけではない。

この傾向は、実は世界的なもので、アメリカやヨーロッパ、
インドなど世界各地で報告されている。とくにインドでは、
ライオンが市街地に出現するというから、これも危険な
話である。

野生動物との棲み分けは、人間社会にとっても大きな
課題である。もともと人間が開発などで自然を壊してしまった
ことがことの発端だ。その過程で自然破壊を緩和し、自然と
共生しようという思いも募らせた努力もあるものの、失われた
自然の回復にはあまりにほど遠い。

日本にも、多様な野生動物がたくさんいるのは事実だ。
ニホンザル、ニホンカモシカ、ヤマネコ、シカ、マムシなどの
ヘビ、イノシシ、キタキツネと、すぐに思い浮かんでくる
はずだ。そんな動物たちが、クマに習い、市街地を闊歩する
風景を目にしたらどうだろう。ただ駆除するだけでは、
未来を見据えた解決にはならないことにこそ、この問題の
皮肉な深刻さが示されている。
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