千島学説とガンの仕組み

~~~気血動の調和と沈黙への眼差し

 

稲田陽子

山田容子さんは、千島喜久男さんの娘さんである。
その昔、進行性の肺ガンに罹患し、その治癒への
道を父親の提唱した「千島学説」に委ね、寛解した
方であった。千島学説は、ガンを全身病として捉えられて
いたので、ガンのみをターゲットにする西洋医療の
考え方とは異なるもので、むしろ感覚的には東洋の
それに近い。というのも、ガンを全体の一部とみなし、
体全体の自然治癒力を高めることにより、
ガンを癒していこうと志向するからである。

千島学説は、病気の治療法ではないものの、その提唱
するものは、すべて千島博士自身の観察事実に基づいた研究
成果であり、自身が編み出した哲科学であった。
それは、幸か不幸か後世になり、いくつかの説が現代科学
により実証されるという皮肉な現象が起きている。
たとえ実証されていることが事実であっても、
医学界の関心を引くことがないのが不思議である。

そうした千島学説の真意を山田容子さんは、身を持って
理解していた。とくにガンになる仕組みを千島喜久男
博士の観察事実とその理論的根拠から知り、山田さんは
それに基づいて、がん治癒のためにさまざま忠実に実行に
移していった。いわゆる千島博士の言う「気血動の調和」の
実践である。

千島博士の考えたガンの成り立ちは、令和のこの時代の
人々にはよく理解されるものとも言えるかもしれない。
自然治癒力、腸内細菌の活性化などという言葉に馴染み始めて
いる人々には、千島学説は身近な理論である。簡単に言えば、
劣化した血液がガンなどのなり損ないの細胞を作り出してしまう
ということだ。iPS細胞をイメージするとわかりやすいが、
あらゆる細胞は血液から作り出されている。

ちなみに、造血幹細胞も発見されており、これについては、
千島博士は腸で作られるとしており、その実証も後世になり
現代科学の証明を受けている。(コロンビア大学の研究
グループの論文)現代科学では造血幹細胞は腸ではなく骨髄で
作られるとされているのが定説である。これも、千島学説の
皮肉と言えるかもしれない。

千島の説によると、赤血球から核のある細胞である白血球に
変容し、それぞれ体細胞に変化していく。この過程で劣化した
赤血球がガンなどの細胞を作り出してしまうのだという。
これは、汚れた血液の浄化装置として考えられることも多い。
このガン細胞は、血液の浄化、すなわち食生活や免疫力の
改善により、その勢力を弱めて、血液に戻っていくわけである。
これを赤血球の可逆分化説と言い、複数の研究者が実証する
こととなった。

血液に戻ったガン細胞は、オートファジー効果で綺麗に
消えてしまうという。と同時に、免疫力の改善された
血液が正常な細胞を作っていくと、千島学説では唱えられ
ている。山田容子さんは、無農薬の野菜を栽培し、同じく
無農薬の玄米を長年食せられ、気の良い暮らしを実践
されて癒しに向かった。

まさに、気血動の調和がものを言っている。これが
ガンの癒しの暮らしには大切である。

『ガン呪縛を解く~千島学説パワー』にマックス・ピカートの
『沈黙の世界』の紹介がある。それは、医療の世界から
人間にとって最も大事な働きをしてくれる「沈黙」が
阻害されてしまったと訴えているものだ。追放されて
しまったそうした沈黙とは、量子真空世界だと稲田は書く。
その精妙な世界が病気を癒すのを妨げず、助けてゆくのだろう。
確かに、ホリスティックな考え方の医療には、沈黙の追放は
より少ないのかもしれない。

ピカートは、語る。
「凶暴で復讐的な沈黙そのもののような病気もある。その
沈黙が復讐的であるのは、それが追放されたからなのだ。
癌はそのような病気である。」
この部分は、現代医療から心身のつながりが追放されたとも
受け取れる内容だ。

これに対して、稲田は、沈黙の追放が量子真空の世界を
阻害すると解し、それがつまりは気の世界を脅かすのだと
暗に示唆する。気血動の調和こそが、ガン治癒の
仕組みを内包する千島学説的治癒法を支える根幹だという
のもここにある。

参考/『ガン呪縛を解く〜千島学説パワー』(稲田芳弘著)
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