千島学説・腸管造血説の実証、コロンビア大学研究論文で

~~~松野哲也さんからのメール「トンデモではなかった
千島学説」

稲田陽子

先日、米国から一時帰国中の松野哲也さんからメールが届いた。
そこには、驚くべきことが書かれていた。千島学説の腸管造血説が
コロンビア大学の研究グループによる研究論文で実証されたという
内容である。先生は、小腸のことを調べている時に、偶然この記事に
出くわしたのだという。

「腸で血液が作られるという腸造血の
千島学説ですが、

最近の米コロンビア大学の研究で
血球が腸でも生成されていることが
明らかにされました。

ということで、腸造血説の
千島学説はもはやトンデモ学説でも
なんでもないですね」

松野先生のこのメッセージは、うれしいニュースである。夫の稲田が
聞いたら、「どんなに喜ぶだろう」と素直に思えるものであるが、
実は、この研究論文の話はすでに私の記憶の中にあるものと同じ
ものではないかと、酒向猛さんの『隠された造血の秘密』の巻末の
記述を読み直した。すると、やはりそうである。ただ、酒向先生の
見解では、この発見は研究者たちにとってあくまでも副次的なもので、
「サイクス教授は、自分たちの発見が腸管造血説の証明になっている
ことに関しては全く無関心のようである」と、記されている。

私の印象も、この見解に留まらざるを得ないほど、千島学説に対する
医学界の扱いに閉塞感を感じていたのかもしれない。現実的にも、
論文が発表された2018年以降も、千島学説への医学会の扱いに
変化はない。

しかし、真実を言うなら、腸管造血は、もはや説ではなく事実
だということである。コロンビア大学の研究グループが行なった
21人の腸の移植手術で、患者に移植された腸にドナーの血球成分が
含まれており、さらにそこにドナーの造血幹細胞が発見されたわけである。
しかも、長期的には、患者とドナーの血液が混ざり合いキメラ化
していくことが判明したという。

研究論文は、「移植された腸に造血幹細胞が存在」として、
コロンビア大学のメーガン・サイクス教授のチームが、専門学術
雑誌『セル・ステムセル』に発表(2018年11月29日)したものだ。

この示唆に富む論文は、これまで血液は骨髄由来であるとされて
いたのが小腸に造血幹細胞が存在していたと、結果的に革命的な
結論を導き出している。これは科学の定説を超えるもので、こうした
自然現象は、人がまだ認知していないだけで、本当は珍しくなく
存在しているのだとしたら、どうだろうか。医学の常識を覆し
超えていた、進化発展を求め続ける千島学説には、知る価値のある
発見が満載ではないだろうか。

今回ご紹介した論文が一つの幸運の風穴となるなら、食べ物と
ガンなどの病や健康、免疫力との関係などに異なる理解が生まれ、
さらに認識が深まることが予測される。松野先生のメッセージから、
久々に千島学説に未来への希望が想起された。

参考/元コロンビア大学がんセンター教授・松野先生のメール
参考/『隠された造血の秘密~腸管造血説と幻の幹細胞論』
(酒向猛著/2023年版)
参考/『ガン呪縛を解く~千島学説パワー」(稲田芳弘著)
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