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STAP細胞報道は何をもたらしたのか

~~~~「科学村の掟」優位で不正認定と理研解体提言

 稲田陽子

 STAP細胞論文騒動の本質は、いったいどこにあるのだろうか。

これだけ世の中を騒がせた論文は、これまで日本社会にはなかった。

これも、マスコミだけでなく、ネット社会の発達が大きな原因と

なっているようだ。

小保方氏本人も思わぬ展開に驚愕しているのは、言うまでもない

ことだろう。いまだにマスコミ、ネットや世間から距離を

取らざるを得ず、いまも入院中だと報道されている。

 

 事実、小保方氏は、理研による不正認定にも抗議の声を上げたが、

さらに追い打ちをかけるように不利な状況に次々と取り込まれていく。

そのたびに報道も、もはや小保方氏=不正の科学者といった扱いを

根底にしながら進めているのが見てとれる。極めつけは、理研解体を

提言した改革委員会のステートメントであろうか。

論文の「世界三大不正」といった汚名まで付け足しているからだ。

小保方氏には非常に厳しい状況になっているようだ。

「空気呪縛」には恐るべきものがあるとも言えるが、こうした状況は、

小保方氏一人で招いたというのには大きなムリがあり、まず何よりも

STAP細胞の再現実験がまだ終わっていないのではなかっただろうか。

 

 不正認定に反論している小保方氏が、本当に悪意を持ってデータの

改良や取り違えをしたのかどうか、まだはっきり決着されてもいない。

そんな状況でなぜ理研は強引に幕引きを急ぎ、これほど表面的な結論を

出すのか疑問が起きないわけがない。

 

 理研の上級研究員たちも、小保方さんと同様にデータの「加工」を

行なっているものの、これは「信頼性」という概念で「不正認定」は

難なくスルーされている。ということは、加工自体はしてはいけない

ことだとは言い切れないことになる。

 

 どうやらどこにでも転がっているようなデータの加工を悪いこととは

思わずに、単に見栄えを良くするために小保方さんもしてしまったという

ことがその真相らしい。画像の取り違えは、うっかりミスのレベル

(honest error)として反論した。

もちろん、いいことではありえないものの、これを「世界三大不正」

というのかと、多少のおかしさを感じるのは私だけだろうか。

 

 小保方氏は、理研に認定された「不正」によって論文全体の結論に

影響しないとして、バカンティー教授とともに論文の撤回にも反対して

いたはずだ。詳細は不明だが、STAP細胞の再現実験に参加させて

もらうために、論文取り下げという不本意な妥協を余儀なくされたともいう。

 

 まだSTAP細胞がないとは断言できず、再現実験は続けられる模様だが、

そもそもこの結論が出てから、小保方氏の処遇が決められても遅くはない

のではないだろうか。マスコミにこれほどアピールしなければ、そうした

状況もあり得たと思われるから、もしも、STAP細胞が証明されるような

ことがあれば、小保方氏のミステイクとは、その程度のもの、と言うこと

になるのだろう。

 

 まさに微妙なゾーンなのだ。マスコミ、科学村、世間が絡み合う三重の

「空気呪縛」は、理研の広報戦略に「化学反応」しつつ、結果的には

大騒動をもたらし、理研や改革委員会に「科学村の掟」を大上段に掲げさせて、

真相が解明される前に「トカゲのしっぽ」である小保方氏の強い断罪に

いたったようにも思われてしまう。一方、改革委員会は、理研に対しても、

「解体」という非常に厳しい要求を突きつけた。しかし、これは、

問題をトカゲの尻尾切りで断罪したことをただ正統化するだけのような

気もしないでもない。つまり、「STAP細胞」も本当はなかったのだと

早々と結論を出してしまっているようなものだ。

 

 16日の会見では、山梨大学若山教授は、若山研究室が提供したマウスと

異なる細胞がSTAP細胞として小保方氏から渡されたとして、第三者機関の

分析結果を掲げて、小保方氏に疑問を呈した。これが決定的なことになった

かのように、若山教授の論を支持するような報道がなされている。

これを読めば、だれでも、STAP細胞はなかったのに、STAP細胞論文は、

ES細胞を使って捏造されたのではないのかと疑問を持っても不思議ではない。

 

 これに対し、小保方氏は、氏が作成したSTAP細胞からキメラマウスを

樹立したのは若山教授であり、また自身は若山研究室以外のマウスでは

実験していないと、その報道内容を否定した。さらには、若山教授サイドが

分析したSTAP幹細胞は若山研究室で作られているので、STAP細胞作成から

STAP幹細胞作成までの過程では小保方氏と若山教授の二人三脚だったという

事実がある。

 

 問題となっている小保方研究室の「ES細胞」の容器には、15番染色体に

GFT遺伝子が組み込まれたマウスの細胞と18番染色体に同遺伝子が組み込まれた

マウスの細胞が存在すると理研の解析で明らかになっており、若山教授が第三者

機関に分析依頼した「STAP幹細胞」の特徴と一致しているという。

(※マウスの系統は不明)しかし、「ES細胞」の容器の細胞は、若山研究室から

比較のために小保方研究室に譲渡されたものだと、小保方氏がコメントを出した。

 

 成果主義ゆえに急ぎ過ぎた論文の行方はいったいどうなるのだろうか。

ことによると、この論文は、ES細胞によるまことしやかな捏造などではなく、

うっかりミスが連なる実験ミスの連鎖がいつの間にか不思議な錬金術として

成立したものなのだろうか。

 

 STAP論文は、世界中で衆目の的となり、データの加工や画像の取り違えを

理研が不正と強引に認定しているが、この潜在下には、抗ガン剤のデータの

改ざん※など大事なことが見落とされている。これはちまたで囁かれてはいる

ものの、表立った問題にはならないのは不思議なことである。

(※例えば『抗ガン剤は効かない』(近藤誠著)には、この問題を正面から

取り上げている。また、拙著『荒野のジャーナリスト稲田芳弘〜愛と共有の

「ガン呪縛を解く」』にも近藤氏の報告を紹介している。)

 

 こちらの方が、「世界三大不正」とまでしつこく冠を乗せられた「STAP論文」

よりもよほど深刻で、命に関わる重要な問題ではないかと、ふと脳裏をかすめる。

 

 そんなことを思いながら、私は、「夢の細胞」であるSTAP細胞の研究が

ともかくもつぶされないようにと、心から願っている。そのためにはアイディアを

出した小保方氏の積極的な参加を期待したい。

 

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