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monologue「9.11」 | 稲田芳弘コラム
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monologue「9.11」

2
あの「9月11日」が近付いてきました。
その日、ツィンタワーに飛行機が突っ込む映像を観ながら、
ぼくはそこにアメリカ自身の「自作自演」を直感していました。
そしてその後、ぼくのほぼ予想していた通りのシナリオが、
見事なくらいに次々と展開していきました。

アメリカ国内に湧き起こった「愛国心フィーバー」、
テロ撲滅の正義の旗を振りかざしての、アフガニスタンへの攻撃、
まるで根拠のない言い掛かりで始めたイラク戦争、
そして、そんなアメリカに呼応しての日本国内での数々の動き…。

圧倒的な武力さえあれば、何をやってもいい、
強い者が力任せに、勝手に世界を支配する…
9・11は、そんな世界への扉を一気に開いてしまいました。

今朝のテレビでは、相も変わらずコメンテーターたちが、
アメリカの弁解、いえ「ブッシュ政権」の代弁をしていました。

「大量破壊兵器はいまも巧妙に隠されている」
「民主化はアラブ社会にやっぱり絶対的に必要なものだ」
「戦後統治には、もっと大勢の兵員と予算が必要だ」
「日本の自衛隊が海外で一滴も血を流してないのは恥ずかしい」
「日本はアメリカが困っているいまこそ助けなければ…」
「場合によっては、日本も軍事強国になる必要がある」

発言のどこにも、「ブッシュの戦争犯罪」を問うものはありません。
それどころか、アメリカの正義にくみすることが日本の国益と、
ブッシュ的価値観にすっかり呪縛されきっているのです。
そして、一部の陰の権力者が描く世界秩序こそが絶対で、
そのためには人を殺し、環境を破壊する戦争もやむをえない…。
こうした論調を支えている背景に、北朝鮮脅威論があります。

9・11は、ブッシュ一味の目論見を見事に始動させましたが、
その反面、その本音も露骨に見えてきています。
その意味で、やっぱりブッシュの芝居は下手なのでしょう。
しかしこんなことが言えるのはぼくが日本にいるからで、
アメリカでは移民たちの「政治亡命」が相次いでいる模様…。
人権を冒された人々が、大挙してカナダに向かっているということでした。

北朝鮮でも「脱北」が相次いでいるようですが、
それを非難するアメリカでも、全く同じことが起こっている。
アメリカから、命からがら脱出を図る人々が急増しているのです。
もしも日本のマスメディアが健全なものだったとしたならば、
そうした「事実」も、平等に報道すべきでしょう。
それとも、「脱北」は正義で、「脱米」は犯罪なのでしょうか。

9・11のことを書き出すと、もうきりがありません<笑>。
とにかく、正義の名のもとでの人権侵害と人殺しが、
安全と平和、幸福をもたらしてくれないことだけは確かと思います。

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