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遺伝子組み換えの詭弁 | 稲田芳弘コラム
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遺伝子組み換えの詭弁

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【遺伝子組み換えの詭弁】

 NHKの「ためしてガッテン」で、遺伝子組み換え問題が放映された。
 番組では遺伝子組み換え技術のすごさを紹介し、最後にみんなで「がってんがってん」。その浅薄さ、そのお粗末さには、ただあきれるばかりだった。
 この問題にはすでにさまざまな立場から危険性が指摘されているが、ここでは「自然農法」的な視点からスポットを当ててみたい。

 人間の勝手な都合で自然をいじくり回すと、とんでもないしっぺ返しに逢う。
 福岡正信さん流の言い方をすれば、遺伝子組み換えは、この一言で言い尽くせるだろう。
 実際、遺伝子組み換えは、人間に都合の良い作物や家畜を作ろうということから出発し、いまや恐るべきものが誕生するに至っている。
 いや、これは決して「人間に都合のいいもの」ではなく、「種子や農薬メーカーにとって都合の良いもの」というのが実際のところ。ほんの一部の企業の利益のために、一般市民や生産者、自然環境が危険にさらされるとしたら、これほど愚かしいものはない。
 にもかかわらず「ためしてガッテン」のように、ほんの一部のメリットばかりが強調され、最も肝心な魂胆と危険性が隠されてしまっている。
 ちなみにモンサント社の遺伝子組み換え大豆を作った場合、同社の農薬を使うしかない。その大豆は農薬を撒いても枯れない大豆なのだが、それは同社の農薬に限って効果があるからだ。
 モンサント社は、かつてベトナム戦争で使用された枯葉剤を製造していた会社だが、いまや除草剤(ラウンドアップ)で大きく成長し、それを遺伝子組み換え種子とのセットで販売している。つまり遺伝子組み換え技術は、ラウンドアップのためのものなのだ。
 しかも、これを使い続けていくと、やがて収量や品質が落ちるため、農薬の使用料量が増え、ついには除草剤が効かない「スーパー雑草」化してしまった遺伝子組み換えナタネなどの報告もある。
 加えて、抗生物質が併用されることから耐性細菌やウイルス耐性の問題が出現し、さらには生態系の破壊といった深刻な問題も避けられない。
 おまけにラット実験では、内蔵の発達障害や免疫力の低下、またアレルギーを引き起こす危険性などが出てきているというのに、安全性が全く保証されていない遺伝子組み換え食品に、どうして安直に合点、納得することができるのだろうか。

 そもそも自然農法では、雑草も害虫も存在しえない。
 実際、福岡さんの田んぼや畑では、除草剤や殺虫剤を全く使わず、また除虫や除草もせずに十分な収穫を得ている。
 いわゆる「害虫」は天敵のバランスによって解決し、「雑草」は「草は草によって制す」を基本としているからだ。しかも「害虫」は、害どころか、イネの品種改良などに役だってさえいるという。その意味で、自然農法は遺伝子組み換え技術のずばり対極に位置している。

●その終着駅は?

 農業基本法から出発した近代農業は、除草剤や殺虫剤など農薬に依存する農業であるだけに、それは必然的に遺伝子組み換え農業に行き着いてしまう。そしてその終着駅が、毒入り食物を生産し、健康や環境、自然生態系を破壊する世界だったとしたら、これ以上の悲劇はないだろう。
 しかしその悲劇が、残念ながらすでに現実のものとなりつつある。

 恐るべきその実態を語る「語り部」の一人が、カナダで畑作を営んでいるパーシー・シュマイザーさん。
 シュマイザーさんはいまモンサント社と裁判で戦っているが、というのも、周辺の畑から飛んできたモンサント社のナタネがシュマイザーさんの畑に勝手に生え、特許権の侵害で訴えられたからだ。
 勝手に飛んできて生えたものまで訴えられ、これに屈すると、毎年同社からタネと農薬を買い続けなければならず、毎年特許料も払わなければならない。畑が汚染された上に、同社のビジネスの餌食にされてしまうのだ。

●無関心こそ危険

 これは決して遠いどこかの国の話ではなく、日本でもすでに「遺伝子組み換えイネの試験栽培」が始まっていて、北海道でも北海道農業研究センター(札幌・羊ヶ丘)が、屋外に遺伝子組み換えイネを植えつけた。これに対して「北海道遺伝子組み換えイネいらないネットワーク」などが抗議の声を上げたが、その声は無視され、依然実験栽培が続けられている。市民がこの問題に無関心でいる限り、悲劇の終着駅はどんどん近付いてくるのだ。
 だからこそ、遺伝子組み換え食品の危険性を知る必要があるわけだが、そのポイントを最後にもう一度簡潔に列挙してみたい。

▼遺伝子組み換え食品の安全性は、長期的な影響調査が皆無で、全くの未知数。
▼ラット実験では、内臓の発達障害、免疫力の低下などさまざまな障害が現れた。
▼遺伝子組み換え食品には本来その作物が持っていないタンパク質が作られるため、それが新たなアレルギーを引き起こす危険性がある。
▼遺伝子組み換え作物は自然になかった植物。これが一部雑草化して広がり、生態系を破壊する可能性がある。
▼遺伝子組み換え作物の殺虫成分は、虫以外に影響はないとされているが、実際には地中の微生物を減少させたり、テントウ虫の寿命を短くするなど、自然界への影響が報告されている。
 ………
 にもかかわらず日本は、遺伝子組み換え作物の最大の輸入国であり、しかも遺伝子組み換えの原材料が5%以下の使用ならば表示義務がない。ヨーロッパでは1%以上が危険として表示を義務づけているのに、なぜ日本だけが5%なのだろうか。
 まさに疑問だらけの遺伝子組み換え問題。しかしNHKは「合点」をPRし、全国のあちこちで「遺伝子組み換えイネの試験栽培」が始まった。

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