有珠山噴火と故沢口敏くん

昨日NHKテレビで「予知された噴火」という番組が放映されました。
そのなかに沢口さんご夫婦が登場してきましたが、あの噴火でぼくがまず思ったのは「沢口さんは?」ということでした。

というのも、沢口さんの家は激しい噴火が続く西山噴火口の一番近くにあり、下手をすれば噴石でハチの巣状態になる危険にさらされていたからです。沢口さんの家は、亡き息子の作品のギャラリーにもなっており、それらもいまや、噴火で吹き飛ばされてしまう運命にさらされています。

沢口さんの家を訪問したのは、もうかなり前のことでした。「交通安全キャンペーン」の企画のために、初めて訪れたのでした。沢口さんの一人息子・敏くんの絵を見せてもらうためです。敏くんは絵の才能に恵まれ、国際コンクールなどでも高く評価されていました。その敏くんが、小学6年生のときに交通事故で亡くなったのです。

それを知ったぼくは、敏くんの絵を使ってカレンダーを作ろうと思いました。そしてそのカレンダーを学校や企業などに配ろうと企画したのです。ご両親は大喜びで協力してくれました。「敏の事故死が社会に役だったら、これ以上の喜びはない」と…。

こうしてカレンダーは出来たものの、印刷するお金が足りません<笑>。そこで考えたのが、サポーターネットワークでした。早い話、企業や個人からの寄付を募ったのです。企業は一口1万円、個人は千円にしました。しかもその名前をすべて、小さくカレンダーの下に印刷したのです。

もちろんわが家も4人で参加し、知り合いも家族全員で参加してくれました。一人千円でも、たくさんの参加者が集まるとそれなりの金額になります。カレンダーの下に小さくびっしりと印刷された個人や企業名の一群は、「敏くん、きみのことは決して忘れないよ!」と言っているようでした。

こうして無事に「交通安全への祈りをこめたカレンダー」が完成しました。その当時、このように作られたカレンダーは珍しかったためか、「ニュースステーション」でも久米さんが取り上げてくれました。こうして沢口敏くんの作品と名前は、全国に知らされることになったのです。

敏くんのその作品が、いま有珠山噴火の危機にさらされています。TVでも敏くんのご両親が、絵のことをしきりと心配していました。ぼくにとっては、思いいもしなかったTV映像を通しての再会となりました。

有珠山噴火に関しては、もう一つの想い出があります。じつは23年前のあの大噴火に、ぼくは幸い?にもたまたま遭遇したのです。そのときはまだ札幌に正式に移住?していたわけではありませんでしたが、その日にちょうど洞爺湖周辺をドライブしていました。すると、突然目の前で、なんとあの大噴火が起こったのです。

こうして有珠山噴火には、いろんな思いが巡ります。


以上のコメントを「浮遊空間」に書いた後、避難所に身を寄せておられる故沢口敏君のご両親から「沢口敏君のカレンダー」の問い合わせがありましたので、沢口さん並びに被災者のみなさまへの激励を込めて、このギャラリーを開設させていただきました。